No.18 斎藤クラウディアちゃん

1犬種:ゴールデン レトリバー メス
名前:齋藤claudia
病名:加齢による筋力ダウン

飼い主さんコメント

彼女は現在14.7歳。加齢による筋力ダウンで段差を登れなくなって3年になります。当初は海外でバリアフリー生活だったためさほど不便は感じませんでしたが、自宅に戻るとリビングのある2階が生活の中心です。27㌔の彼女を散歩の度に運ばなくてはいけません。さてどうしたものか、と心配しながらの帰国初日、事件は起きました。2年ぶりの我が家に興奮した彼女は玄関に入るや否や猛ダッシュで2階へ。元気だった自分の姿を思い出したようです。しかしそれは束の間の魔法。数週間歩行不能という重い代償を払うことになりました。
水を飲みたい・散歩に行きたい・おやつがほしい。脚は弱ってもまだまだ好奇心も食欲も旺盛な彼女は一日中私たちを呼びつけます。一度腰を持ち上げ立たせてもバランスがとれず3歩ほどでぺたり。またワン!と呼ばれ…。かくしてpuppy時代には想像もしなかった大型犬介護生活がスタートしました。
特に大変なのは①階段昇降 ②散歩 ③排泄ケア ④お風呂 ⑤食事 ⑥床擦れ防止 の6つ。ご参考までに状況をお知らせすると…

1.階段昇降

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帰国後すぐに作った自作の
担ぎバッグ

当初はシートに乗せて運んでいましたが、ひとりでも降ろせるようオリジナルバッグを制作。その後紐を専用のドッグキャリーハーネスを購入し、肩で担いで降ろしています。素手で抱きあげるよりはずいぶん軽く感じますが、頻度も多いので介護者の腰にはそれなりの負担がかかります。昇降ともに装着の手間もかかります。介護者も体調管理のため、ジム&マッサージ通いは必須です。

2.散歩

魔法が解けて約1か月。段差がなければ歩けるまでに回復するも徐々に脚力は衰えていきました。室内では長めのタオルをお腹に差し込んで支えましたが、散歩の時は手の自由がきかず不便です。そこで私はリードの金具がある端を輪にして腰に巻きつけることを思いつきました。持ち手があるので支える動作が楽なのです。もちろん首輪もつけていますから2本のリードでまるでマリオネットのような散歩風景です。細い紐が食い込んでおなかが痛くない?とたまに心配されますが、必要な時だけ支えるので、本犬はできる限り自分の力で歩きます。結果、広い面積で腰全体を持ち上げる専用の介護用品より足の衰えを誘わないのではないかと感じています。

3.排泄ケア

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腰にもリードをつけて
必要な時だけ補助

1年ほど前からは寝たまま排便するようになりました。1日に2‐3回昼夜問わず、です。そばにいれば汚れる前に取り除くこともできますが、なかなかタイミングは合いません。踏みつけた足で部屋中をずりばいされたことも1度や2度ではありません。オムツという方法もありますがこれは一長一短。排泄物もそれなりに大きいので、その後お尻を洗って乾かすという別な大仕事を伴います。

膀胱炎を患ったとき時は排尿コントロールができなくなり、血尿が垂れ流し状態でした。自分でもむずむずするのでしょう。出そうだから外へ連れて行ってくれと一日中せがまれ、におい対策と併せて往生しました。
足が弱くなるにつれ、散歩中に排泄する場合もその上に座り込むことが多くなりました。上述のリード腰紐をぐぐっと引き寄せて支える技が必要です。うまく支えないと、散歩後毎回お風呂に向かわなければなりません。夜中に排便するようになったころからはリビングで寝起きを共にし、においで目を覚ましてさっと始末するという新技も身につけました。最近では膀胱炎でなくても排尿コントロールができなくなったため、腰を持ち上げ、脱力させて誘うようにしています。これはかなり熟練技で、家族でも全員はできません。

4.お風呂

足が弱った大型犬をお風呂に入れるのは大仕事です。負担が無いようなるべく寝かせたまま洗いますが、おしりと後ろ足は自分の膝で彼女のおなかを支えながらしかできません。カットもシャンプーもドライヤーもどれも体力を消耗します。一度にせず、ゆっくりゆっくりと心がけてはいますが、体中が汚れることもしばしばでシャワーで流すしかありません。困ったものです。

5.食事

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食事は立って取りたいクラ。
前足も滑るので滑り止めのマット
も必需品

寝たままでは食べたくない!と突っ張る彼女のために、食事中はずっと支えていなければいけません。以前はタオルで腰を支える程度でもバランスをとっていましたが、最近は横に座り、後ろ足と腰全体を両腕で抱えるようにしないと食べません。寝そべっている時に勧めてもぷいっとして水さえ飲みません。簡単そうに見えて、リラックスした状態で食事させるためには彼女のバランスを一緒に感じる必要があります。

6.床擦れ防止

まだ自由に寝返りが打てるからと油断していたら、結構早い時期から床擦れができました。体重が重いので、じっとしている時間が長いとすぐにできてしまうようです。気付いたその日に低反発のマットレスとカバーを洗い替えも含め3セット用意。早めの対応ですぐ快方に向かいましたが、寝返りで布団から落ちてしまうことも多く油断はできません。両肘に大きな床ずれができたときは、タイツで作ったサポーターにふわふわのひじクッションを縫いつけて毎日着用。大事に至らずに済みました。「布団から落ちたら床擦れが再発する!」と気になってしまい、発生以来、横で寝ている私は熟睡することができません。

生まれながらの目の持病に加え、膿皮症、耳の脂漏症、膀胱炎等々、免疫力が弱ってきた近年は次々とトラブルが続き、介護と一言で終わらせるには語り尽くせないほど目も手も離せず振り回されています。足先が荒れてしまう原因不明の皮膚病にかかり、一日2回両手足を消毒薬で丁寧に洗って乾かした時期もありました。脾臓に血腫ができ、破裂したら危険!という命に係わる病気もありました。ご飯を食べたことを忘れたり、時間の感覚が狂ったりとボケを心配したこともありました。それでも今日まで彼女はおどろくほどの生命力で回復してきました。今もワン!と私を呼びつけ、まだまだ生きる気満々です。
玄関先に階段のある友人宅への寄り道も、キッチンでの盗み食いも、野原を走り回ることも二度とできません。でも、通りかかった人に甘えながら陽だまりでのんびり過ごす彼女を見ていると、失くしたものばかりではないと思えてきます。天敵だった隣家の猫とも仲良くなり、お転婆だった彼女も今ではすっかり穏やかお婆ちゃんになりました。

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獣医師コメント

人が寝たきりになって介護をするのも大変な仕事ですが、犬―特に大型犬の腰が立たなくなってからの介護は困難を伴います。 クルディアはアフリカ生まれです。飼い主とともにフランスやタイランドなどに暮し、 最後は日本に戻ってきましたが、タイに居た頃から免疫力が低下し、甲状腺機能が低下していることが判明しました。趾間炎、膀胱炎を繰り返し腰が立たなくなってから飼い主は本当に大変でした。でも、斉藤さんはめげませんでした。度々発生した困難に立ち向かい、工夫して乗り越えています。そんな彼女の闘病記を是非、書いてくださいと何度もお願いしました。いつか自分のペットが寝たきりになったとき、彼女の手記が助けになるかもしれません。クラウディアは、まだまだ頑張っています。

北川犬猫病院  三枝早苗

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