よくある症状
【獣医師解説】ペットの闘病末期の実際
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〜愛犬、愛猫が余命宣告をされたら〜
こんにちは。
東京都板橋区の北川犬猫病院 院長の後藤です。
これまで数え切れないほどの犬や猫の最期に立ち会ってきた獣医師として、「看取る側」にいることがほとんどでした。

実は私自身、先月初めて飼った愛犬ロミオが亡くなりました。
ロミオは消化器型リンパ腫の末期がんでした。
4月に余命2か月の宣告をし、5月21日に旅立って行きました。
獣医師だから特別冷静でいられたかというと、そんなことはありません。
むしろ、獣医師であるからこそ苦しかったこともたくさんありました。
その闘病と死を経験し、初めて「見送る側」になりました。
今日は、ロミオとの時間を通して気付き、学んだことをお伝えします。
同じように病気の愛犬・愛猫と向き合っている方の心が、少しでも軽くなれば幸いです。

① 毎日ひとつずつ、できないことが増えていく
末期の子と暮らしていると、大きな変化は突然ではなく、小さな変化の積み重ねでやってきます。
最初は、
「今日はベッドに登れなかったな」
という程度でした。
それが次第に、
- ソファに登れなくなる
- 足を上げておしっこができなくなる
- 補助なしで立ち上がれなくなる
- 自力で立ち上がれなくなる
へと変わっていきます。
病気が進行していることは分かっている。
でも、その現実を毎日少しずつ突きつけられるのです。
昨日までできたことが、今日はできない。
その積み重ねは想像以上に心に堪えます。
「病気が進行する」という言葉は簡単ですが、実際は生活の中の何気ないひとつひとつの喪失の連続でした。
② 何を考えているのか分からなくなる
元気な頃は、愛犬が何を考えているのか大体分かりました。
散歩に行きたい。
お腹が空いた。
飲み水取り替えて。
長年一緒に暮らしていると、言葉がなくても分かるようになります。
しかし体調が悪くなると、それが急に分からなくなります。
苦しいの?
痛いの?
眠いのか。
水飲みたい?
そっとしておいてほしい?
私自身、何度もロミオの顔を見ながら考えました。
そして飼い主さんやスタッフからよく聞かれる
「ロミオ調子どうですか?」
という言葉。
獣医師として何度も投げかけた質問ですが、
飼い主になった時、この言葉が胸に刺さりました。
「分からないんです…喋ってくれないから。」
血液検査の結果と、その日の様子が一致しないこともあります。
数値は悪いのに元気そう。
数値は安定しているのに辛そう。
データだけでは測れない部分が確かに存在します。そして最後まで答えが出なかった問いがあります。
「ロミオは、どうしてほしい?」
最後まで、その答えを聞くことはできませんでした。
③ 残された時間をどう過ごすのが正解なのか分からない
病気が進行すると、多くの飼い主さんが悩みます。
休みの日はずっと家にいるべきなのか?
それとも外に連れ出すべきか。
散歩は行くべき?
トリミングはしてもいい?
正解はありません。私も最後まで悩みました。
ただ今振り返ると、その子、その時の状態によると思います。
誰かの正解ではなく、自分と愛犬にとっての正解。
それを探し続けることも必要だに思いました。

④ それでも飼い主は少しでも長く生きてほしいと思う
病気の話をすると、大体の周りの人は言います。
「15歳だもんね」
「頑張ってるよね」
もちろん、その言葉に悪意はありません。
でも飼い主からすると違いました。
私には、
「まだ15歳」
「もう少し一緒にいたい。」
「あと1ヶ月、いや1週間でもいい。
そして亡くなった後は、あと1日でいいから一緒にいたかった。
とすら思ってしまいます。
獣医師として寿命や予後を理解していても、飼い主としての気持ちは別でした。
愛情とはそういうものなのかな、と思います。
⑤ 藁にもすがりたくなる
末期になると、どんな飼い主さんも希望を探します。
私もそうでした。
「何か方法はないか」
「少しでも楽になるものはないか」
「奇跡が起きないか」
そんな気持ちになります。
だからこそ私は獣医師として思います。
明らかに根拠のないものや、危険なものについては、しっかり見分ける必要があります。
無闇に飛びついて、健康を害したり、意味のないものに多額の費用をかけるのも意味がありません。
しかし同時に、切り捨てるだけもいけないとも感じました。
希望を持ちながら意味がないかもしれないものでも、すがりたいのであればすがってみる。
そういった気持ちも必要な場合もあると思いました。
⑥ 飼い主として、情緒不安定になる
病気の子と暮らしていると、不安が尽きません。
今日の夜は大丈夫だろうか?
明日の朝は迎えられるだろうか。
仕事中も気になるし、どうしても置いて、出かけないといけないこともある。
「いない間に遠くへ行ってしまわないか」
これ実は、こうした不安の多くは「未来」に対する不安です。
一方で、犬や猫には人間ほど未来を考える能力はないと言われています。
つまり、
明日どうなるか。
来週どうなるか。
という不安は、飼い主だけが抱えている可能性が高くて、ペットと分かり合えることはありません。
ペットは今を生きています。
だからこそ、ペットの前では、未来不安に表情を曇らせるより、今日隣にいてくれる時間を大切する。
大事なマインドだと思います。

⑦ 理想的な最期ではないかもしれない
多くの飼い主さんは願います。
「最期は自分の腕の中で看取りたい」
私もそうでした。
でも現実はそうなるとは限りません。僕もそうでした。
彼は寝てる間に、最後の挨拶もせずに遠くへ行ってしまいました。
一言吠えてくれてもよかったのに。
私は実は、ロミオの最期が近いと感じた頃から、毎晩伝えていました。
「大好きだよ」
「もし辛かったら、いつ逝ってもいいからね」
「もしいつか天国に行ったら、ロミオを一番最初に探すからね」
最期の瞬間に伝えられなくてもいいように。
伝えたいことを全部伝えておこうと思いました。
今振り返ると、それが本当に良かったと思っています。
最期の一瞬よりも、
生きている間にどれだけ想いを伝えられたか。
そちらの方が大切だったと感じます。
亡くなってから亡骸に語りかけても、伝わりませんから。
⑧ ペットが亡くなると、想像以上の喪失感がやってくる
ペットが病気になり、亡くなると、単に命を失うだけではありません。
まず、健康を失う。
日常にできていたことを失う。
そして、命を失う。
火葬することで、形ある存在を失う。
亡くなってからも、
一緒に過ごす時間を失い、未来の思い出を失う。
何重にも喪失感を味わうから、辛い。
私自身、ロミオがいなくなった後、
存在が大きすぎて、喪失感に押しつぶされそうになることがあります。
そんな中で救いになったものがあります。
それの一つが動画。
何気なく撮っていた動画。歩いている姿。寝ている姿。
後から見返すと、本当に宝物になります。
そして、多くの方からいただいたお花も。
お花は単なる贈り物ではありません。
そこには、
「鎮魂の願い」
「一緒に悲しんでいます」
という優しさが込められています。その気持ちに何度も救われました。
最後に
私は獣医師です。
病気の知識もあり、予後も理解していました。死が避けられないことも知っています。
それでも、愛犬を失う悲しみは変わりませんでした。
その中で、今回ロミオを通して改めて感じたことがあります。
それは、
余命を知った後の時間は、最後のお別れをするチャンスだ
ということです。
もし今、大切な家族が病気と闘っているなら。
どうかその時間を悲しみや後悔だけに費やさずに、思い出作り、家族への愛と感謝を伝える日々にしてください。
悩むのは当たり前だし、不安になるのも当たり前です。その子を大切に思っている証拠だからです。
そして、いつかその日が来た時に、
その子はきっと、
「たくさん愛してくれて幸せだった」
と、思ってくれるような日々を過ごしてください。
闘病中の不安、亡くなった後のペットロスについてお悩みの方は、当院までご相談ください。
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ロミオの闘病や死については、私のInstagram またはTikTokにて詳しくお伝えしております。
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北川犬猫病院 院長 後藤慎史 (獣医師ジャスティン)
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