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猫のアトピー性皮膚炎の治療として減感作療法を試しています

ぬくちゃん 当院での治療例

犬には人で見られるようなアトピー性皮膚炎が存在することは明確ですが、はたして猫にもアトピー性皮膚炎が本当にあるかどうかは論議の的です。

今回は、いわゆるアトピー性皮膚炎様の症状で免疫抑制剤に反応しない脱毛症の猫ちゃんに対して、皮内反応の結果からハウスダスト抗原に対する減感作療法をしている症例のご紹介です。

皮内反応の手技および実践に関しては、門屋美千代先生(門屋アニマルホスピタル院長)のご指導と助言をいただきながら行ないました。

患者さん紹介

  • 猫の種類:ミックスブリード(DSH)
  • 名前:ぬくちゃん
  • 生年月日:2014年11月(4歳8カ月)
  • 病名: 掻痒 および 脱毛症

生後一カ月の子猫のときに飼い主さんに保護されました。

2015年春 不妊手術。

2016年 ノミの寄生を確認。

2017年5月頃 下腹部を舐めて脱毛が始まった。ステロイドに初めは反応したが、徐々に効果が上がらなくなり、2018年からアトピカを併用した。同時に除去食も始めたが効果が出なかった。

2019年1月 初診で来院(下画像6枚は初診時のもの)

耳が薄っすら赤い
耳が薄っすら赤い
お腹
お腹
内股から足にかけて
内股から足にかけて
前足の裏側
前足の裏側
足の裏側
足の裏側
尻尾の中央部部が舐め壊して毛が短くなっている
尻尾の中央部部が舐め壊して毛が短くなっている

皮内反応の結果

2019年5月 皮内テスト

皮内テストとは

皮下に抗原を入れて、抗体を持っているかどうかを免疫学的に観察する方法

テストの結果、ハウスダストとノミとヨモギの抗原が陽性であった。

皮内テストの様子
皮内テストの様子その1
皮内テストの様子その2
皮内テストの様子その2

減感作療法

2019年6月 減感作療法を始める

減感作療法とは

抗原を短期間でアレルギーを起こさない程度に体に入れて、慣らしていく治療方法。

耳介の発赤は消失したが、お腹の発疹(ぶつぶつ)は消えなかった。

そこで、抗ヒスタミン薬とステロイドの合剤を塗布したところ発疹少し良くなりました。

下画像3枚は2週間後のかゆみが増している状態なので、よけい悪化しているように見えます。

現在も治療中です。

腹部
腹部の脱毛と発疹
足と尻尾
前足の裏
前足の裏

治療中です

今回紹介した症例は、人や犬のアトピー性皮膚炎に相当すると思われる症例です。猫にアトピー性皮膚炎は無いという説もありますが、私たちは日々の臨床で猫にもアトピー性皮膚炎はあると思いこの典型的な症例をご紹介しています。

アトピー性皮膚炎の治療で根治療法といえるのは減感作療法です。

しかしながら、減感作を成立させることは難しいです。

痒い動物に痒いのを入れるわけですから、痒み止めを使いながら減感作をしていますが、あまり使うと抗体の生成がおさえられてしまいます。

今後治療の効果が見られたときに、追加で結果を公開する予定です。