当院での治療例
【獣医師が解説】犬の歯周病は老化を加速させる?アンチエイジングとの深い関係を徹底解説
- 当院での治療例

【獣医師解説】
犬の歯周病とアンチエイジングの深い関係
—口腔ケアが“寿命”と“健康寿命”を変える時代へ—
北川犬猫病院院長で、日本抗加齢学会指導士の後藤慎史です。
犬のアンチエイジングというと、関節、認知機能低下、歩行速度の低下やサプリメントの服用などを思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし実は、最も手軽で、そしてエビデンスが豊富で、効果も実感しやすいアンチエイジング医療は「口腔ケア」です。
なぜでしょうか?
それは、犬の歯周病が単なる“口の病気”ではなく、「全身の老化を加速させる“慢性炎症”の源(炎症ドライバー)」だからです。
北川犬猫病院には、毎日のように口臭、歯石、歯ぐきの赤み、食欲低下、シニア犬の元気消失……といった相談が寄せられています。
その大部分を占めるのは、飼い主さんが気づかないうちに進行した歯周病が原因です。
この記事では、
「なぜ歯周病がアンチエイジングと関わるのか?」
「歯周病を治すと老化のスピードがどう変わるのか?」
を、獣医師の視点からわかりやすく解説します。
そして最後に、北川犬猫病院が行っている歯科治療(スケーリング・研磨・レーザー照射)やご家庭でできるケアも紹介します。
今日から愛犬の“健康寿命”を守れるきっかけになれば嬉しいです。
■ 1. 歯周病とは?犬の80%以上がかかる“国民病”
犬の歯周病は「歯肉炎 → 歯周炎 → 重度歯周病」と進行する慢性疾患で、日本では3歳以上の犬の80%以上がすでに歯周病にかかっていると言われています。
特に、小型犬(チワワ、トイプードル、ダックス、ポメラニアンなど)はリスクが高いです。
理由は主に以下の通りです。
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顎が小さく歯が密集している
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歯垢がたまりやすい歯の形
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唾液の性質(自浄作用が弱い)
-
加齢とともに免疫が低下する
犬は痛みを隠す動物のため、飼い主さんが気づいたときにはかなり進行していることも珍しくありません。
よくある症状は以下です。
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口臭
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歯ぐきの赤み
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歯石
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食欲ムラ
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硬いものを噛まなくなる
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よだれが増える
これらの症状は、単なる“歯の問題”に見えて、実は全身の老化とリンクしています。
■ 2. 歯周病がアンチエイジングと関係する理由
▼(1)歯周病は「全身に炎症を撒き散らす病気」
歯周病が進行すると、細菌(歯周病菌)と炎症性サイトカイン(IL-6、TNF-αなど)が歯ぐきの血管から全身へ運ばれます。
これは医学的に「inflamm-aging(炎症性老化)」と呼ばれ、老化の主要な原因のひとつ。
つまり歯周病は、
“体の中の火事”をずっと起こし続けている状態
なんです。
慢性炎症は、犬の寿命に関わるさまざまな臓器に影響します。
▼(2)心臓・腎臓・肝臓などの臓器にダメージ
歯周病菌が血流にのって全身に広がることで、
以下のような病気のリスクが上昇すると言われています。
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僧帽弁閉鎖不全症(心臓病)
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腎機能低下(腎臓病)
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肝臓への負担
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肺炎
特にシニア犬は免疫が弱くなるため、歯周病の影響を受けやすい傾向があります。
▼(3)認知機能の低下(犬の認知症)との関連
最近の研究では、
口腔内の慢性炎症が脳血管の炎症を誘発し、認知機能を落とす可能性
が指摘されています。
また、噛む働きは脳血流を良くする刺激でもあるため、歯の状態が悪くなると脳への血流が低下しやすくなります。
▼(4)免疫力の低下 → がん・感染症リスクの増加
慢性炎症は免疫バランスを狂わせ、
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感染に対する抵抗力の低下
-
腫瘍免疫の低下
などに繋がることがあります。
つまり、歯周病は“アンチエイジング”と真逆の状態を作ってしまうのです。
■ 3. 歯周病を治療すると起こる“アンチエイジング効果”
歯周病を治療すると、多くの犬で次のような変化が見られます。
✔ 食欲が安定する
✔ 体重の減少が改善
✔ 活動量が増える
✔ シニア犬の元気が戻る
✔ 口臭が激減
✔ 慢性炎症マーカーが改善
特に、
「急に若返った気がする…!」
と飼い主さんが驚くほど、行動の変化が明らかに出る子も多いです。
歯周病治療は「口の中の掃除」ではなく、
『全身の炎症を止める医療』なのです。
■ 4. 北川犬猫病院の“アンチエイジング歯科”
当院で行っている歯科治療は、
スケーリング → 研磨 → レーザー照射
の3ステップ。
それぞれの役割を簡単に説明します。
▼(1)スケーリング(歯石除去)
超音波スケーラーで歯石を取り除き、歯周ポケットに潜む細菌を徹底的に除去します。
歯石は「歯周病菌の温床」なので、これを取ることでで炎症や感染は大幅に改善されます。
▼(2)研磨・ポリッシング(当院の強み)
スケーリング後の歯は表面がザラザラしています。
そのままだと、再び歯垢が付きやすい状態。
研磨で表面をツルツルに整え、
再発を予防します。
当院では3種類の研磨剤を用い、徹底的に研磨します。
▼(3)レーザー照射(当院の強み)
歯周ポケット内や歯肉を半導体レーザーで照射します。
レーザー治療には以下のメリットがあります。
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強い殺菌作用
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歯周ポケットの奥まで到達
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鎮痛・消炎効果
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止血作用
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治りが早い(創傷治癒促進)
- 歯肉の引き締め
とくに“深いポケットの殺菌”は、手技だけでは届きません。
レーザーがあることで、よりアンチエイジング効果の高い歯科治療が可能になります。
■ 5. 自宅でできるアンチエイジング口腔ケア
● 毎日の歯みがき
最も効果が高いホームケア。
嫌がりやすいので「1日10秒から」でOK。
● デンタルガム
歯みがきが難しい子の補助として有効。
● 歯みがきが苦手な子のステップアップ
-
指にガーゼを巻いて軽く触れるだけ
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口まわりを触る練習
-
臭いや味のないペーストから開始
● シニア犬でもできる簡単ケア
歯みがきが痛い場合は無理せず、歯科検査を優先。
■ 6. 歯周病を放置した場合の“老化リスク”
歯周病を放置すると、
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全身炎症の加速
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認知症リスクの増加
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体重減少 → フレイル
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感染症・腫瘍リスク
-
生活の質の低下
へと繋がります。
つまり、歯周病を治す=老化を遅らせるということ。
これはアンチエイジング医療の考え方そのものです。
■ 7. まとめ:歯周病ケアは“若さ”を守る医療
アンチエイジングと聞くと難しいことに思えますが、
最も大切な第一歩は “毎日の口腔ケア” です。
歯周病は「治せる老化」。
そして歯周病ケアは「防げる老化」。
愛犬が10年後も元気に走り回れるかどうかは、
今日の歯のケアで大きく変わります。
「口臭が気になる」「歯石がついてる」「シニアで麻酔が心配」など、どんな些細な相談でも大歓迎です。
北川犬猫病院では、歯科検査から治療、麻酔相談、アンチエイジング外来までトータルにサポートしています。
お気軽にご相談ください。
北川犬猫病院院長 / 日本抗加齢医学会指導士
後藤慎史
さいごに
愛犬の口臭、歯石、食欲のムラが気になる方は、
まずは 歯科チェック(口腔検査) をおすすめします。
北川犬猫病院では、
スケーリング・研磨・レーザー照射を組み合わせた「アンチエイジング歯科」に対応しています。
麻酔の心配、年齢の相談、治療期間など、お気軽にご相談ください。
🦷 歯科チェック・歯周病の相談はこちらから
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