今回は、2013年に初診で診たアレルギー性皮膚炎の猫です。
発毛と脱毛を繰り返し長期に渡り加療が必要でしたが、最後にはアレルゲンとなった食物が判明した症例のご紹介です。
- 猫・品種:コーニッシュレックス
- 名前:マフィン
- 生年月日:2005年3月
- 病名:アレルギー性皮膚炎(アトピー性皮膚炎および食物アレルギー )
初診時
初診時は自分で舐めて毛を抜いてしまう、いわゆる自己誘発脱毛の所見でした。
この猫はステロイド治療には耐えられないので、シクロスポリン(アトピカ)を選択して治療しました。
治療方針
食事治療と免疫抑制療法を同時に行いました。
免疫抑制剤のシクロスポリンは、単独投与でもたいへん増毛作用のつよい薬ですので、舐めなくなって食事治療の効果があったのか薬が効いたのかわかりずらいところがあります。
本来ならば、ふたつを分けて行なうのが良いのですが、臨床の現場ではひとつの治療が終わるのを待っていられないことがしばしばあります。
治療後
下画像は4カ月後の写真ですが、実際の発毛は2カ月を過ぎると見られました。
獣医師コメント
この子の場合は発毛と脱毛を繰り返していました。
その後もサイクルがあるように脱毛を繰り返していたのですが、近年猫のアレルゲン特異的IgE検査ができるようになり、この子も検査をしたところ卵と米とマグロとタラに反応がありました。
その検査結果から飼い主さんが食事を検討したところ、どうやら米が痒みを左右しているのではという事実が解明されました。
現在は、アトピカを飲まないで食事管理のみで皮膚の状態も良好のようです。
アトピー性皮膚炎と食物アレルギーの鑑別はなかなか一筋縄ではいかない場合が多いと思います。