北川犬猫病院、皮膚科獣医師の佐尾です。

冬の寒さが厳しくなると、私たち人間も暖かい室内で過ごす時間が増えますが、愛犬の皮膚も寒さや乾燥にさらされやすくなります。

特に、暖房が効いた室内で過ごすことが多くなると、犬の皮膚は乾燥しやすく、皮膚病が悪化することがあります。

都内でも、冬になると

「フケが増えた」「かゆがる」「赤みが出てきた」

といったご相談が増え、板橋区ときわ台にある当院でもそのような主訴で来院される方もいます。

今回は、冬の犬の皮膚病の予防策として、暖房や服装の影響について解説します。

1．暖房が犬の皮膚に与える影響

冬の寒さをしのぐために暖房を使うことが多くなりますが、暖房が効いた室内は空気が乾燥しやすく、犬の皮膚にとっては大敵です。

乾燥した空気は、犬の皮膚のバリア機能を低下させ、かゆみや炎症を引き起こす原因となります。

特に注意が必要なのは、室内の湿度管理です。

暖房を使うことで湿度が下がりすぎると、皮膚が乾燥しやすくなり、フケが増えたり、皮膚がひび割れたりすることがあります。

加湿器を使って室内の湿度を保つことが重要で、

**理想的な湿度は40％〜60％**です。

また、こたつやヒーター、電気カーペットなどの影響で、低温やけどなどの皮膚トラブルを起こす可能性もあります。使用する際は、適切な距離を保つようにしましょう。

2．冬に服を着せるメリットと注意点

冬の寒い時期には、愛犬に服を着せることが一般的ですが、服も皮膚に影響を与える可能性があります。

寒さから守るために服を着せること自体は非常に良いことですが、服選びや着せ方に気をつけないと、皮膚トラブルの原因となることもあります。

● 服の素材選びが重要

犬の皮膚が敏感な場合、化学繊維やゴワゴワした素材は刺激になることがあります。

天然素材や肌に優しい素材（コットンなど）を選ぶと、皮膚トラブルを防ぐことができます。

● 服のフィット感を確認

あまりにもぴったりすぎる服や、逆にゆるすぎる服は、摩擦や締め付けによる皮膚の炎症を引き起こすことがあります。

犬の体に合った服を選び、動きやすさも確保しましょう。

● 服を着せる時間を適切に

長時間服を着せたままだと、服の中が蒸れて湿気がこもり、皮膚がかぶれることもあります。

外出時や寒い時だけ着せ、室内では休ませるようにしましょう。

3．冬の犬の皮膚病を防ぐケアのポイント

冬の間、犬の皮膚を健康に保つためには、以下のケアを心がけることが大切です。

● 保湿ケアを徹底

乾燥した空気から皮膚を守るためには、保湿が欠かせません。

シャンプー後や乾燥が気になるときには、犬用の保湿クリームやスプレー、フォームなどを使いましょう。

また、シャンプーは適切な頻度で行い、乾燥を防ぐために低刺激の保湿シャンプーを選ぶことも大切です。

● 室内の湿度を管理

暖房で乾燥しがちな室内の湿度を保つために、加湿器を活用しましょう。

湿度が低いと、犬の皮膚が乾燥して、かゆみや炎症を引き起こす原因になります。

● 食事によるサポート

食事も皮膚の健康に大きな影響を与えます。

オメガ3脂肪酸が豊富なフードやサプリメントを取り入れることで、皮膚の乾燥を防ぎ、健康な皮膚を保つことができます。

● 定期的な皮膚チェック

冬は皮膚の乾燥が進みやすいため、定期的に犬の皮膚をチェックしましょう。

乾燥がひどくなる前に早期に対処することが大切です。特に腹部など、乾燥しやすい部分を確認しましょう。

4．皮膚トラブルが悪化する前に動物病院へ相談を

もし、犬が皮膚を頻繁に掻いていたり、赤くなっていたり、湿疹ができていたりする場合は、早めに動物病院で相談しましょう。

皮膚病は放置すると悪化してしまうことが多いため、早期に治療を開始することで、症状の悪化を防ぐことができます。

冬の季節に愛犬の皮膚を健康に保つためには、暖房の影響を最小限に抑え、服装や湿度管理に気をつけることが重要です。

暖かく快適な環境で過ごせるよう、愛犬のケアを丁寧に行ってあげてくださいね。

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